入門編(1) 会社を進化させるCIとは
CIを初めて導入(実施)される方のための入門編を用意しました。CIとは何か、CIで何が得られるのか、CIを導入しないとどんな危険が待ち受けているのかを簡単にご説明します。
CI(コーポレート・アイデンティティ) とは、企業が掲げてきた(これから掲げていこうという)信念(起業の思いや志し、願いや指針)と事業内容、また企業の社会的責任 (CSR) 等を整理して定めた理念(MIマインドアイデンティティ)と、その理念に基づいた行動を取る宣言(BIビヘイビアアイデンティティ)、そして理念を統一したイメージ化、デザイン化し、これらを企業内で共有し、且つ社外に広く知らしめながら「より良く価値の出る企業活動を行っていこう」とするものです。
CIを構成する3つの要素
MI:マインド・アイデンティティ 理念の統一 企業理念開発
BI :ビヘイビア・アイデンティティ 行動の統一 行動指針開発
VI :ビジュアル・アイデンティティ 視覚の統一 ベーシック&アプリケーションデザイン開発
CIを導入するとどんなメリットがあるのか
まず、企業内において価値の共有による社員の意識が向上し、また品質や生産性、営業、販売、リクルート活動などにおいて高い効果が期待できます。CI はシンボルマークやロゴを策定することが多いため「 CI はマークを新しくすること 」と誤解されることがあります。しかしCIの本質は「企業文化を高め顧客や社員、協力会社や関係者や社会とより良い関係性を築くこと」が本来の目的です。ですから定められた理念(MI)に沿って、明確で親しみやすい言葉(スローガンやステートメント)に変換されたシンボルマークやロゴをデザインしなければなりません。更にそれらは統一された世界観のもとで統一された使用方法で使わなければ意味がありません。こうして理念と行動とイメージを統一させる事で効果の出るCIが構築されるのです。何度も言いますが、シンボルマークマークやロゴデザインは流行やただ単に新しさを追求して作られるものではありません。あくまでも企業の掲げる理念と特性を視覚化したものであり、時の変化に左右されることのない100経っても色褪せない普遍性、また競合他社と明確に差別化するための強い独自性を持っていることが重要になります。理念から生まれたツールは企業を象徴するものとして広く社会に浸透するようあらゆる形で展開され、 PR や様々なプロモーション活動の核として企業と社会をつなぐ重要な橋渡し役を果たします。また知的財産として商標登録し企業の資産として厳しく管理します。現在は、 2000年頃を境に登場した新しい「 ブランディング 」という戦略概念がその役割を引き継ぐ形で現在に至っていますが、私たちはこのブランディングとCIを明確に分けて用いています。
入門編(2) 企業にCIが不可欠な理由
CIを導入する目的は「自社の価値(アイデンティティ)を行動とイメージ化し、消費者マーケットと社会への認識度を高めるため」です。
質の良いCIを導入することで(前述した「CIとは」で述べたとおり)、社員の意識が向上しチーム力結束力が生まれ、また同時に品質や生産性、営業結果、販売高、リクルート雇用率などにおいて高い効果が期待できます。また、企業文化が高められ、顧客や社員、協力会社や関係者や社会とより深く、より良い関係性も築くことができます。
しかし、同時に危険性も潜んでいます。
例えば、社名入りのユニフォームや営業車の看板は企業が一目で判るため、下手して会社の顔に泥を塗ってしまう事もあり得ます。その危険性を自覚してもらうために「行動の統一MI」があるのです。社内と社会における認知度と社員の意識が高まれば、自ずと利益も結果的に上がるのです。
ですから(前述した「CIとは」参照)ロゴマークを変えただけでは何の結果も得られない、という事が明言できるのです。
入門編(3) ベーシックデザインとは
CIの1つを構成しているVI(イメージの統一)が、ベーシックデザイン開発です。
シンボルやロゴ、キーカラー、世界観、コピー、キャッチなどのツールを制作するためには、理念に基づいている事が大前提ですので、理念をイメージ化するための基礎作業を飛ばして直ぐにツール制作に進むことはあり得ないのです(あってはならないのです)。
* 企業理念(ビジョン・ミッション・バリュー)
* ブランドステートメント(企業の理念や思想の文言・コピー)
* ネーミング(社名やブランド名 : 競合企業・競合ブランドと明確に差別化するための名称)
* シンボルマーク(視覚的コミュニケーションの基本。マーク、シンボル、ロゴタイプ)
* 正式社名ロゴ(正式和文社名と正式英文社名のロゴタイポ)* 指定書体(広告やマニュアルなどで使用する書体の規定)
* ブランドカラー(企業を象徴するカラー)
* サブグラフィック・エレメント(コーポレート・シンボルを補完する図形)
* トレードキャラクター(企業イメージをサポートするためのキャラクター)
* ロゴガイドライン(使用規定など)
これらが完成した上で、ようやくツール制作に着手できるのです。
入門編(4) アプリケーションデザインとは
アプリケーションデザインとは
ベーシックデザイン作業によって完成したコンセプトを元に、具体的なPRツール製作に進みます。これらPRツール製作をアプリケーションデザイン開発とよんでいます。
アプリケーションデザインはキーカラー、世界観、コピー、シンボル等が基本となった統一感が図られていなければなりません。キーワードは、100年経ってもブレることのない理念をイメージ化(視聴覚化)して消費者に伝える!です。その時代時代に合わせて変化させる物であっては無らないのです。
アプリケーションデザインツールは、店舗や企業、商品や人物によって大きく異なりますが、一例は下記のとおりです。
* 製品(製品デザイン・ネーミング・ロゴデザイン)
* 広告・広報(会社案内・プレスリリース・商品カタログ・名刺・社外文書)
* パッケージ(製品を保護するパッケージ)* サイン(パネル・広告看板・標識・案内表示)
* 環境(オフィス・工場など施設の内外観のイメージ)
* 輸送用機器(営業車両・輸送車両など)* ウェブサイト(コーポレートサイト、ブランドサイト、採用サイト)
* ユニフォーム(服・帽子・腕章・名札・ワッペンなど)
入門編(5) CIマニュアルブック
MI(理念)を基礎にベーシックDesignから開発したアプリケーションDesignは、 CI マニュアルBOOKとしてガイドライン化し使用方法を厳しく管理します。
社内や関係会社がPR活動等でシンボルマークやロゴを使用する際は、イメージの統一(VI)を図るためCI マニュアルブックで予め定めた使用規定に従って忠実に再現することが必要です。何故ならば所変わる度に仕様がバラバラではCIが総崩れしてしまうからです。また掲げた理念やビジョンを効率良く認知・浸透させ、最終的に企業の共感や信頼が育つようにするためです。
CIマニュアルブックは、ベーシックデザインやアプリケーションデザインの仕様、色、形状、場所、サイズ、使用する場等がきめ細かに規定されており、それはつまり遠く離れた支店(全営業所、全支店、全店舗)も本社同様に統一させるためであり、その結果イメージの統一が図られるのです。